はじめに
エルドレインの森が発売されて数日がたった。様々な構築のデッキが試されている。私も早速スタンダードのデッキを試した。 以前の記事でも紹介した、《大食い戦争》だ。
簡単に言えば、自分のすべてのアーティファクトがショック相当になる。複数枚設置すればその分火力も上がる。実に楽しそうなカードだ。 《大食い戦争》というカード名からフードファイター的なことを連想するが、イラストやフレイバーテキストから察するに食物を投げつけて戦っているようだ。 この《大食い戦争》、リミテッド評価が低く、ドラフトで4枚流れてきてすぐ揃ったので、 さっそくスタンダードのカードプールでデッキを作ってみた。
デッキ
アーティファクトを活用するなら、《鬼流の金床》だ。これと相性の良いカードをデッキに入れて、新カードの《ガムドロップの毒殺者》も入れよう。これで【黒赤大食い戦争】の完成だ。
しかし結果から言うと、この【黒赤大食い戦争】は弱かった。なぜなのか?もちろんデッキリストの練度が低いのもあるだろう。しかし根本的に弱い部分があった。特に、
- アーティファクトを出す手段だった《命取りの論争》がない
- 《命取りの論争》がないから、アーティファクトでないクリーチャーを生け贄にできない
- 《大食い戦争》が序盤何もしない
- 《大食い戦争》の能力起動に2マナかかる
などの点が弱いと感じた。特に《命取りの論争》がないのはとてもきつかった。 この散々な結果に、期待していたカードだけに《大食い戦争》は駄目なのか、と落ち込んだ。 もうだめなのか…と思ったそのとき、一人のプレインズウォーカーを見つけた。
《肉体の裏切者、テゼレット》は『神河:輝ける世界』で登場したプレインズウォーカー。 故郷のアラーラが話題らしいが今は関係ない。 常在型能力でアーティファクトの起動型能力のコストを1ターンに1回だけ2下げる。 そう、《大食い戦争》と非常に相性の良い能力なのだ。2枚が揃えば、相手ターンも含めて毎ターンタダでダメージを飛ばすことができる。
後は生け贄に捧げる料理(もとい、アーティファクト)をテゼレットに用意する必要がある。そのための料理人には《第三の道の偶像破壊者》と《金属の徒党の種子鮫》を採用する。 アーティファクト・カードをデッキに入れるよりも安く生け贄となるアーティファクトを提供してくれる。特に《金属の徒党の種子鮫》はテゼレットの起動型能力とも相性が良く、8/8という巨大サイズのクリーチャー・トークンを作り出すこともできる。
というわけで、テゼレットを採用した【青赤大食い戦争】のデッキを作成した。
デッキ 4 肉体の裏切者、テゼレット (NEO) 84 5 山 (ANA) 7 2 マイトストーンとウィークストーン (BRO) 238 1 セレスタス (MID) 252 2 電圧のうねり (NEO) 171 6 島 (ANA) 3 3 塔の点火 (WOE) 153 3 金属の徒党の種子鮫 (MOM) 51 2 大食い戦争 (WOE) 129 4 シヴの浅瀬 (DMU) 255 2 蒐集家の保管庫 (WOE) 244 4 かき消し (SNC) 49 2 アイレンクラッグ (WOE) 248 4 嵐削りの海岸 (VOW) 265 1 眠らずの尖塔 (WOE) 260 1 反逆のるつぼ、霜剣山 (NEO) 276 1 天上都市、大田原 (NEO) 271 4 第三の道の偶像破壊者 (BRO) 223 1 消えゆく希望 (MID) 51 3 キャンディーの道標 (WOE) 243 1 攪乱プロトコル (NEO) 51 1 ミレックス (ONE) 254 3 ミシュラの研究机 (BRO) 162 サイドボード 2 兄弟仲の終焉 (BRO) 128 1 塔の点火 (WOE) 153 1 電圧のうねり (NEO) 171 1 削剥 (VOW) 139 2 呪文貫き (NEO) 80 1 否認 (STA) 18 2 石術の連射 (MOM) 152 2 魂なき看守 (ONE) 241 2 生けるレガシー、カーン (DMU) 1 1 攪乱プロトコル (NEO) 51
戦術
デッキを構成するのは、先ほど述べた主要パーツと、アーティファクト、除去とカウンターである。《第三の道の偶像破壊者》と《金属の徒党の種子鮫》はクリーチャーでない呪文を唱えるたびにアーティファクト・トークンを生成するため、なるべく軽い呪文を採用している。
新カードの《キャンディーの道標》はデッキの潤滑油となるアーティファクトで、ライフゲインもついているためアグロに強くなれる。また、《蒐集家の保管庫》は宝物トークンを生成できる上、テゼレットの常在型能力とも相性が良い。
《かき消し》や《塔の点火》は、使いやすい呪文でありながら、《第三の道の偶像破壊者》が用意するトークンをコストにすることができるシナジーが存在する。
基本的な戦い方としては、相手のクリーチャーは赤の火力で焼きながら、カウンターを構えて2種のクリーチャーを出す。マナが十分に溜まったら、テゼレットを登場させる。テゼレットが場に出ている間は《大食い戦争》、《蒐集家の保管庫》、《金属の徒党の種子鮫》のトークンの起動型能力がタダになるので、一気に盤面を制圧できる。
サイドボードは割りと適当である。今回はメインボードに採用していないが、《生けるレガシー、カーン》もこのデッキでは強い。4マナと重いが、[+1]能力でパワーストーンを生成できる。パワーストーンを《大食い戦争》で生け贄に捧げるときは(アンタップしていれば)タップで自身のマナを使用できるため、宝物などを生け贄に捧げるより軽い。また[-1]能力のカードを探す能力も地味ながら強い。なにより《告別》を撃ってくるようなデッキへの保険になる。
Tips
《肉体の裏切者、テゼレット》の常在型能力は、《アイレンクラッグ》や《セレスタス》のようなマナ能力にも適用されてしまうので注意。
感想
黒赤でデッキを組んでいたときとは比べ物にならないほどデッキとしてしっかりと成立していた。序盤は火力とカウンターで捌けば、中盤から一気に強力な盤面を作ることができる。《大食い戦争》を設置すればクリーチャーデッキを止めることができるし、そのまま火力でフィニッシャーにもなれる。デッキの見た目としてはコントロール寄りだが、《大食い戦争》テゼレットの[-2]能力を活用すれば素早く対戦相手のライフを削ることができるので、意外と相手に逆転を許さず勝ち切ることができる。
このデッキをさらに良くする改善点としては、火力とカウンターの配分や、マナベースの改善だろうか。アーティファクトを多用するデッキなので、《攪乱プロトコル》はなるべく採用したいが、しかし火力も必要なため、青2マナを序盤に安定して揃えようとするとタップイン土地を使うことになってしまうのが難点である。
結果としては《大食い戦争》よりも《肉体の裏切者、テゼレット》がメインになっているが、あまり使われることが無かったプレインズウォーカーを新カードを絡めて活躍させることができたので満足である。
今回はここまで。