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【MTG】『アルケミー:ファイレクシア』【レビュー】

はじめに

『ファイレクシア:完全なる統一』が発売してからしばらく経った。様々なカードが試されているが、中でも《偉大なる統一者、アトラクサ》はいろんなフォーマットで活躍しているようだ。本ブログでは(忙しくて)レビューしなかったが、ここまで活躍するとは思わなかった。ひょっとしたら当セットの《鏡割りの寓話》枠だったのかもしれない。

本題に入ろう。『アルケミー:ファイレクシア』の全カードが公開された。
本記事ではカードを一枚づつ見ていきながら、全カードをレビューする。評価が実際の強さと全然違ったら笑ってほしい(いや、むしろ後で笑うためにやるのだ)。

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magic.wizards.com

画像は貼らないので各自セルフサービスで見てほしい。なお、呪文書のカードは英語のプレビュー動画にしか載っていない。


レビュー

《造物師ガルマ》

攻撃するたびに《鍛えられた鋼》を創出して1/1トークンを生成する象。
《鍛えられた鋼》は唱えないといけないため、攻撃と同時には出せない。一度でも攻撃できたら強いが、やや遅めか。速攻を付けたい。


《ケンバの装具役》

ETBで手札か戦場の装備品に装備(1)を持たせる猫。
《巨像の鎚》を持って殴ってくださいと書いてある。アルケミーにおいては、《ベルト・オヴ・ジャイアント・ストレングス》と一緒に使うか、《武装あさり》から出る《巨像の鎚》を使うことになりそう。


イラクサの宿主》

堕落を達成していると、墓地からこれを追放して《イラクサ嚢胞》を創出するクリーチャー。
毒性と堕落を同時に持っている珍しいカード。創出するのに追放以外のコストがいらないため、堕落さえ達成すれば攻め手を緩めず攻撃できて優秀。ただし、《イラクサ嚢胞》は毒性とは関係ない上にデッキを選ぶのは注意。


《ノーンのフェッチリング》

ETBで《平地》を創出し、堕落達成で代わりに土地でないカードを抽出することも可能なクリーチャー。
毒性と堕落を同時に持っている珍しいカード(2枚目)。こちらは毒殺デッキの安定性を上げるのに役に立つ。


《水銀の給仕》

あなたがこのターンに加えたカードを唱えると、増殖を行うクリーチャー。
誘発条件が珍しく、また特に回数制限はない。「このターン中」であるため、構えるデッキだとやや使いづらい。《球層の追跡者、エズーリ》のようなカードとはシナジーを持つ。


《外科的変異体》

戦場に出るとき、パーマネント1つのコピーとなるアーティファクト・クリーチャー。後攻だとコストが(1)少なくなる。
パーマネントならなんでもOKなコピーカードは過去には《イルーナの神話》くらいしかない。土地もコピーできるため実質マナ加速として利用可能。状況を選ばず使えるのは強く、特に後攻で使いたい。コピーはアーティファクトにもなるため《マイコシンスの庭》でさらにコピーすることができる。

《テゼレットの報い》

ライブラリーからランダムに3枚追放し、追放されている限りそのうち1枚をプレイできるインスタント。
言ってしまえば《予期》の変形版。メリットとしてはハンデスが効かないことと、使うカードをすぐに決めなくても良いところか。なお、裏側追放なので追放したカードは《大いなる創造者、カーン》で持ってこれない。


《荒廃翼の幼体》

プレイヤーに戦闘ダメージを与えるたびに、毒カウンターの数に等しいマナ総量のカード1枚を抽出するクリーチャー。
堕落以外で毒カウンターの個数を見る珍しいカード。飛行と毒性1を持ち、さらに黒1マナで速攻も持つ。デッキに軽いカードしかないと、早々に何も持ってこなくなるため注意。


《完成化への歩み》

「次に唱えるファイレクシアン・クリーチャーに+1/+1と接死カウンターを置く」恩恵を得、ドラフトも行うソーサリー。
ファイレクシアンのサポートカードのように見えて、呪文書にはファイレクシアンしかいないため1枚で完結している。実質的に1マナ追加で強化されたクリーチャーを出すカードである。デッキにクリーチャーを入れたくない場合に使えるカード。


《シェオルドレッドの同化者》

ETBと攻撃時誘発で墓地のカード1枚を追放し、その複製をライブラリーの5番目に創出するクリーチャー。
墓地対策としてみると《墓地の侵入者》と同等の誘発であり、パワーは同じ3でありながら2マナである。また、《アシュノッドの収穫者》と比べて、ETBでも誘発する。とはいえ、そのためにわざわざ入れるかどうかは微妙。複製をどう活かすかにかかっている。


《呪い金の大鎚》

ETBで《ゴブリンの小槌打ち》を戦場に創出する能力を持つ装備品。
《ゴブリンの小槌打ち》は装備している数だけパワーが上がるクリーチャーであり、装備品との相性がいい。また、ミラディンのために!(ETBで2/2トークン生成)を持っているため、これ1枚でクリーチャーが2体出る。このカードをブリンクすればクリーチャーを効率良く増やせるのが魅力。《慈悲無き者、ナヒリ》とは相性が良い。除去1枚では対処できないため、普通に使っても強いかも。


《マグマの炎翼》

あなたのライブラリーに基本でない土地がないとき、ETBで対象1つに3点ダメージを与えるドラゴン。
基本でない土地が1枚も無いことを要求するために赤単でも使いづらく、得られる恩恵は《稲妻》1回相当で速攻もないと、過去のドラゴンと比べると微妙に見える。


《ファイレクシアの収穫者》

赤い《ファイレクシアの抹消者》。ダメージを受けるたびにその数だけ抽出を行う。
抽出したカードはあなたの次の終了ステップに捨てる。威迫も相まって、戦闘では大体アンブロッカブルになる。抹消者とは違って盤面制圧力はないが、赤なので能動的にダメージを与えることは得意。また、赤のクリーチャーの中ではかなりマナレシオが良いため、速攻を付ける手段があればアグロでも使えそう。


《結束した大口、ロスガ》

ETBで「次に唱えるクリーチャーに+X/+X修整を与える。Xはそのクリーチャーのパワーである」恩恵を得るビースト。
ルーカの相棒らしい。次のターンに《ギガントサウルス》を唱えると20/20の恐竜が誕生する。大きいことは良いことだ。


《ファイレクシア病の甲虫》

戦闘ダメージを与えるたび、あなたの戦場と墓地と手札とライブラリーの昆虫に毒性1を与えるクリーチャー。
元から毒性1を持っており、さらに毒性が強くなっていくため1マナのクリーチャーとしては割りと優秀。毒性デッキの新戦力なりうるか。他の昆虫としては《多汁質の頭蓋住まい》も候補になる。


《繁殖繭》

抽出版《出産の殻》。
サーチが抽出になったぶん、ファイレクシア・マナが消えており、ライフを払う必要がなくなっている。私は《出産の殻》を使ったことがないため正確なことは言えないが、シルバーバレット戦術ができなくなっているのは痛い。6マナのクリーチャーをなんとか工面して《偉大なる統一者、アトラクサ》を出したい。


多色

《偽の黄金守護、アレック》

「団結」と同じ条件で強度が1上がり、自身を生け贄に捧げることで強度ぶんのドレインを行う白黒のクリーチャー。
同名カードも強度が上がる仕様。活かすならサクリファイスデッキのフィニッシャーか。《血の芸術家》と違って累積する点を活かしたい。
(「団結」とは「これでないクリーチャー1体があなたのコントロール下で戦場に出るたび、」を表す能力語。)


《刃砦の大鉈》

+2/+2修整と装備クリーチャー死亡時にドラフトする赤白の装備品。
他の装備品の例に漏れず、ミラディンのために!を持つ。装備品としては4マナと重めだが、途絶えることのないクリーチャーとして扱える。しかし、とにかくマナがかかるため、《古代を継ぐ者、ナヒリ》や《ケンバの装具役》のようなカードと一緒に使いたい。なお、呪文書には《ゴブリンの小槌打ち》や《覇者、ジョー・カディーン》などが入っている。


《伝染病の分配機》

ETBで増殖を行い、1ターンに1回増殖を行うたびにドラフトする緑青のアーティファクト
呪文書のカードも増殖を持っている。《球層の追跡者、エズーリ》と似てるが、エズーリと違って4マナで増殖できる。プレインズウォーカーがたくさん入ったデッキと組み合わせたい。なお、ETBの増殖にスタックして除去された場合は、後半の能力は誘発しない(はず)。


ダークスティールのハイドラ》

破壊不能を持ち、ETBで《ダークスティールの鋳塊》と《ダークスティールの板金鎧》を創出する白黒緑のハイドラ。マナコストにXを含み、X個の油カウンターを持って戦場に出て、P/Tは油カウンターの数の2倍に等しくなる能力も持つ。(説明することが多い。)
Xが3以上でマナレシオが1以上になる通り、マナレシオは割りと良い。創出するカードが微妙で勝ちに直結しない。ただ元から破壊不能を持っているのは良く、X=1で手札を増やしつつ壁にもでき、Xを大きくした場合はフィニッシャーにもなる。


《ぎらつく抽出機》

油カウンター4個を持って戦場に出て、あなたのアップキープごとに油カウンターの個数に等しいマナ総量のカードを抽出し、油が1個減る青黒のアーティファクト
そのままだと合計4枚のカードを抽出できる、名前通りの抽出機。ただし、油が0個になると何もしなくなるので注意。手札が増えるのが遅くて微妙。


《虐なる捕食者、ガイオクス》

油の置かれたクリーチャーが死ぬと、油の数だけ+X/+Xされたその複製を油の数だけライブラリーに創出する黒緑のクリーチャー。油も置いてくれる。

《迷宮壊し、ミグロズ》が何もせず死ぬと9/9のクリーチャーが5枚作られる。ただアドバンテージを増やしてくれるわけではないので、やや使いづらい。


《胆液の逸脱者》

増殖するたびに戦場か墓地にいると+1/+1され、そのターン墓地から唱えられる青黒のクリーチャー。
大きくなった《虚空翼の混種》のようなもの。しかしパワーが7以上にならないと防衛で攻撃することができない。《虚空翼の混種》とは違って毒とのシナジーはない。プレインズウォーカー系デッキにアクセントとして入るか。


《革新的な変成家》

あなたの1体以上のアーティファクト・クリーチャーが相手に戦闘ダメージを与えるたび、2マナ以下の土地でないカードを抽出する白青のクリーチャー。
これ自体はアーティファクトではない。この手のアドバンテージ源としては2マナと軽めである。ダニ・トークンと組み合わせると良い。


《メフィドロスのスライム》

死亡するたびに同名カードを1枚墓地に創出し、それらのP/Tを2倍にしてからライブラリーに戻す黒緑のスライム。
ライブラリーに創出してもサーチ方法が特にない。この手のライブラリー創出カードは《頭目の神官》くらいしか使われてない気がする。


《水銀の細工人》

ETBで《オパールのモックス》を創出する青赤のクリーチャー。
《ディスプレイサーの仔猫》と無限コンボを形成する。ただし無限マナになるには金属術を達成している必要がある。また、《オパールのモックス》が伝説なため、2枚目以降は微妙なカードになる。普通に2マナのマナ加速として使えるデッキで使いたい。


《煮えたぎる駆抜僧》

ETBで戦場と手札のクリーチャーに「死亡時にダニ・トークンを生成する」能力を与える白黒のクリーチャー。
4マナとやや重めだが、全除去に対するケアにはなる。壁を突破する能力は特にないため、コントロール相手には強いかも。ちなみに、《栄光のドミヌス、モンドラク》と《修羅のドミヌス、ドリヴノッド》どちらとも相性が良い。


《頭蓋穿ちの虻》

戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーのランダムな手札1枚に「唱えたとき、毒カウンターを1個置く」を与える緑青のクリーチャー。
2マナと軽く飛行も持っており、ちくちく毒を与えるのが得意。さらに昆虫であるため、《ファイレクシア病の甲虫》と相性が良い。両者ともアンコモンで安く試しやすい。


《イチ=テキクの後継者、ヴェクシル》

あなたが抽出をするたび、3/3のゴーレムを生成し、ゴーレムに警戒を持たせる緑白青のクリーチャー。
3マナとはいえ3/3のクリーチャーが抽出するだけで並ぶのは圧力がある。軽めの抽出カードと一緒に使おう。同セットの《革新的な変成家》とはシナジーがあり、アーティファクト・クリーチャーがいれば毎ターントークンを増やしつつ手札を増やせる。


無色

《ファイレクシアの屑鉄場》

タップと手札を1枚を捨てると同名カードを創出し、同名カードを3つ生け贄に捧げると《新たなるファイレクシアの魂》を戦場に創出する無色土地。
クリーチャーになる土地としてはソーサリーでしか起動できないのは良くない。《新たなるファイレクシアの魂》は一度出せれば破壊不能をばらまいて戦えるが、そこまで圧倒的という訳でもない。実質2マナで手札1枚を必ず土地にできるのは利点。


さいごに

過去のカードを創出するカードが増えている気がする。本セットの注目カードは《繁殖繭》、《ケンバの装具役》、《イチ=テキクの後継者、ヴェクシル》である。果たしてどのカードが活躍するのか、今から楽しみである。

今日はここまで。