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【MTG】『イクサラン:失われし洞窟』で隠れた強者を探す【レビュー】

はじめに

すべてのカードセットレビューは、後で見直すためにある。

11月17日発売(デジタルでは11月14日発売)の新セット『イクサラン:失われし洞窟』の全カードが公開された。

↓カードリストはこちら↓

magic.wizards.com

本記事では『イクサラン:失われし洞窟』のカードを、MTGアリーナ目線で強そうなカードや気になったカードを一部抜粋しながら、隠れた強カード、つまり未来の《鏡割りの寓話》を探す。予想を外したら笑ってほしい。

《鏡割りの寓話》は、『神河:輝ける世界』で初登場したレアのカードで、詳細は省くが、プレビュー段階から発売して1ヶ月後くらいまではあまり評価されていなかった。しかし、次第にその強さが明らかになり、スタンダードで活躍すると、多くの下環境でも活躍するようになった。未来の《鏡割りの寓話》とは、プレビュー段階では評価されていないが、発売後に活躍するカードのことであり、この記事ではそれを予想する。

今回も各カードを、パワー・隠れ度・価格度という3つの評価の観点で評価する。

パワーはそのカードの強さであり、これを1から5の値で評価を行う。数字が大きいほど強いカードであると予想したことを表す。

隠れ度はそのカードがプレビュー段階でどれだけ注目されていなかったかを表す。これも1から5の値で評価付けをして、数字が大きいほど隠密していたことを表す。測り方は、私個人の感覚やショップ価格を見て判断する。

価格度はそのカードをデッキに入れるのにかかる費用を表す。これは稀少度とそのカードをデッキに入れるべき枚数から決まる尺度である。これもやはり1から5の値で評価付けをする。MTGアリーナ基準なので、紙の価格ではなく、稀少度とデッキに入れる枚数で評価される。

これらの評価が高いほど、《鏡割りの寓話》になる可能性が高いと言える。

前回の振り返り

『エルドレインの森』でスタンダードで活躍したカードとしては、《苔森の戦慄騎士》《執念の徳目》は事前評価も高く、実際に使われている。逆に事前評価の低かったカードの中では、《開花の亀》《木苺の使い魔》が活躍していた。前者は単純にカードパワーが評価されて使われており、後者は《アラーラへの侵攻》との意外なコンボを持っていた。

また、下環境では予想外のカードが活躍していた。《探索するドルイドはレガシーのデルバー系デッキで定着している、また、《豆の木をのぼれ》は主にモダンやレガシーで使われているカードで、強力なドローソースとして活躍している。私は下環境にそこまで詳しくないが、まったく記事で話題にしていなかったので、これを気にしていなかったのは節穴だった。《鏡に願いを》については、下環境では使われているが、スタンダードなどではそこまで使われていないので、そこも予想を外した。

前回の記事で取り上げたカードを見ると、《ガチョウの母》以外は実際に使用感を試した。

《大食い戦争》はジョニー向けのカードだが、良い使い方を見つけて記事にすることができた。実は《大食い戦争》にはアルケミーにサポートカードが存在するのだが、そちらはまだ試していない。

《強靭の徳目》はヒストリックの【緑信心】で試したり、ブロールで使ったりした。やはり出来事が強く、当事者側はおまけという感じだった。

《フェイの血筋のケラン》は装備品デッキに入れたが、そこまで強いと感じなかった。出来事も当事者も、遅さが気になった。

《キャンディーの道標》は、予想通り地味に強いカードで、スタンダードの大会でも白単に使われていた記憶がある。

今回は前回の反省を踏まえて、自分が使いそうなカードを中心にあげていこうと思う。では、注目カードをチェックしていこう。

↓新メカニズムに関しては、公式の記事を参照してほしい。↓

mtg-jp.com

期待のカード

《奇怪な宝石》《啓蒙の神座》
《奇怪な宝石》 《啓蒙の神座》

タップ状態で戦場に出て、能力起動限定で無色2マナを生み出し、作製能力も持つ伝説のマナ・アーティファクト

作製は新登場のキーワード能力で、簡単に言えば、「戦場か墓地のカードをコストに裏返る」能力である。作製条件は「起動型能力を持ち土地でない4つ以上」と9マナであり、かなりの重さである。裏面の《啓蒙の神座》も伝説のアーティファクトとなる。《啓蒙の神座》は作製で追放したパーマネントすべての能力を持つ。さらに、あなたがマナ能力でない起動型能力を起動するたび、コピーを行う。 裏面は複雑だが、とにかく強力なことが起こると考えて良いだろう。プレインズウォーカーを追放すれば、忠誠度能力も使える。とはいえ、作製コストが重く、基本的には表面での使用が基本になる。

このカードに期待する理由は、《大食い戦争》デッキで使えるからである。表面は青の1マナで出てくる軽さが優秀。2マナは《大食い戦争》の能力をちょうど起動できる。1ターン目から展開できるアーティファクトとしてはちょうど良いだろう。

余談だが、裏面の「神座」は「しんざ」と呼ぶ。ラーメン屋のように「かむくら」ではない。

  • パワー:2
  • 隠れ度:5
  • 価格度:4

《地底のスクーナー船》

攻撃時に探検を行う、2マナの機体。

搭乗コストは1ともっとも低く、それだけでかなり優秀。攻撃をトリガーに探検を行えるため、序盤からマナスクリューをケアできるのも、デッキの安定性を高める点ではかなり役に立つ。なお、探検を行うのは搭乗を行ったクリーチャーの方なので注意。搭乗するクリーチャーはなるべくサイズを上げる意味があるクリーチャーを採用したい。また、回避能力を持たないため、中盤以降は殴りづらくなることもあるが、そこは他のカードでサポートしたい。青絡みの攻めるデッキで採用されるかもしれない。

よく《密輸人の回転翼機》と比較されるが、個人的には《航海の神、コシマ》の裏面の《領界船》と似ていると思う。両面カードでなくなった代わりに強化された感じ。

  • パワー:4
  • 隠れ度:2
  • 価格度:4

《エターリの好意》

3マナの赤のオーラ。ETB能力で発見3を行い、エンチャントしているクリーチャーに+1/+1修整とトランプルを与える。

発見は新キーワード能力で、簡潔に言うと、ライブラリーからランダムにマナ総量が「発見の数値以下」の呪文を唱える能力である。《エターリの好意》は発見3なので、3マナ以下の呪文をランダムに唱えられる。

このカードは、オーラである部分はどうでもよく、とにかくETBで発見を行うパーマネントであることが大事である。どういうことかというと、このカードの発見3を使い回すわけである。デッキの3マナ以下のカードを、発見を持つカードと、《クローン》的なコピーカードやブリンクを行えるカードだけを採用すれば、《エターリの好意》をコピーしたりブリンクすることで発見3を繰り返すことができる。(新カードの《地質鑑定士》は唱えた時限定であるため不可。)しかし、それだけでは勝つことはできない。発見は待機を持つ0マナのカードも唱えられるが、MTGアリーナにないので関係がない。一体どうやって勝つのか?詳細は後に紹介するカードで説明する。

  • パワー:1
  • 隠れ度:5
  • 価格度:1

《太陽の執事長、インティ》

あなたが攻撃するたびに手札1枚を捨ててクリーチャーを強化する能力と、カードを捨てるたびに衝動的ドローを行う能力を持つ伝説のクリーチャー。

2マナと軽いながら、クリーチャー強化と衝動的ドローの2つを行える。クリーチャー強化の方は+1/+1カウンターを使うため恒久的な強化であり、トランプルでチャンプブロックも許さない。衝動的ドローの方は、手札の不要なカードの入れ替えを行うことができ、これ以外で捨てても衝動的ドローを行うため、他のカードとシナジーを持たせることができる。また、《復興の領事、ピア・ナラー》のような追放領域から唱えることを参照するカードともシナジーする。

総じて、攻めと手数の2つの能力を2マナで持っている優秀なクリーチャーであり、ぜひスタンダードで使ってみたいカード。

  • パワー:5
  • 隠れ度:2
  • 価格度:3

《クイントリウス・カンド》

アルケヴィオス出身の赤白のプレインズウォーカー。最近多い常在型能力を持ったプレインズウォーカーであり、クイントリウスの過去の例に習って5マナである。

常在型能力は、追放領域から呪文を唱えるたびに2点ドレインを行う。なんとなく《オニキス教授》の常在型能力と似ている。2点ドレインは攻めにも守りにも嬉しく、5マナという遅さをある程度軽減してくれる。自身が追放領域から呪文を唱える能力を持つため、単体でシナジーを持つ。

+1能力は3/2のクリーチャー・トークンを生成する能力で、ロアホールド大学のマスコットと同じサイズ。5マナの能力としては標準的で、《怪物の代言者、ビビアン》に比べれば一歩劣る性能。とはいえ、毎ターン中程度のクリーチャーを生成できるのは、それだけで強力だろう。

-3能力は発見4を行う。踏み倒しとはいえ、忠誠度の消費が大きく、なんとなく使っても強くないことが多いように見える。

-6能力はあなたの墓地の望む数のカードを追放し、追放した数だけ赤マナを加え、さらに追放したカードをプレイできる能力。常在型能力と合わせて、一気にライフを吸い取れる可能性のある能力だが、これ自体は特に墓地肥やしを行わないため、割と構築に左右されるかもしれない。

《クイントリウス・カンド》の注目すべき点は常在型能力で、回数制限のないドレインであるため、1ターンに何回も呪文を唱えれば、《苦悶の触手》の如くライフを0にできるかもしれない。ここで登場するのが、《エターリの好意》である。デッキの3マナ以下のカードをうまく調整すれば、発見3を繰り返し、何回も呪文を唱えて勝利できる!しかも、自前の-3能力で即座にコンボできる!

しかし、スタンダードのカードプールを調べたところ、3マナ以下のコピーカードやブリンクするカードが足りなさそうである。(そもそもエンチャントのコピーカードはかなり限定される。)駄目なのか……!?

追記:《エターリの好意》でなくても、《クイントリウス・カンド》自体をコピーしたりブリンクするカードを使えば、コンボになる。《灯の分身》は特に効率が良い。しかし、【アラーラへの侵攻】並みに構築を縛ってしまうのが難点。

  • パワー:3
  • 隠れ度:4
  • 価格度:4

おわりに

本記事では、『イクサラン:失われし洞窟』の《鏡割りの寓話》的カードを予想した。とはいえ、今セットでは、多くの環境を縦断するようなカードはあまり無いように見えた。レビューの記事では大体5枚のカードを紹介しているのだが、《エターリの好意》と《クイントリウス・カンド》をわざわざ分けているあたり、カードの選定に困っていたのが分かるだろう。例外として、《溶鉄の崩壊》は明らかに強いが、予想としては鉄板すぎて紹介しなかった。また、《バネ仕掛けの鋸刃》のような《大いなる創造者、カーン》から持ってこられる優秀なアーティファクトなどはあったのだが、パンチに欠けると思いこちらも紹介しなかった。

それと、記事を書くのが遅すぎて、プレリリースが始まってからの公開になってしまっているため、予想としては微妙になっているのは後悔。

以上、皆さんもぜひ発売前に強いカードを予想して、「私は最初から寓話だと思ってた」と自慢しよう。